【ドーナツ裁判で社会が騒然】介護スタッフと家族の関わりを考察する

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社会に重いテーマをもたらすきっかけとなった「ドーナツ裁判」これは犯罪なのか?そうではないのか?今回は、「ドーナツ裁判」で明るみに出た介護の問題を介護スタッフや家族の関わり方を通して解説していきます。みなさんはどう考えますか。

ドーナツ裁判とは

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2013年、安雲野市の特別養護老人ホームで、当時85歳の女性がおやつのドーナツを食べ、窒息死しました。

1審の地方裁判所では、「ドーナツを配った准看護師が、おやつがゼリーに変更されていたのに確認を行わなかった」として、有罪の判決をいい渡しました。

ただ、この死亡した女性は日によってお饅頭なども食べていたこともあり、裁判は不服として弁護側が控訴し、介護・医療者などからも「無罪」を求めて27万人余りの署名が集まりました。

そして2020年7月28日、東京高裁は被告人の准看護士に「逆転無罪」の判決をいい渡しました。

もしこの裁判で准看護師が敗訴してしまったら、介護業界はますます委縮・崩壊してしまったでしょう。そのくらい大事な裁判でした。

介護入所施設での事故分析

では介護入所施設では実際にどんな事故が起きるのでしょうか。以下にまとめました。

介護施設入所での事故の分類

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平成29年度老人保健事業推進費補助金老人保健健康増進事業等「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業報告書」:出典

介護入所施設では物損(物が壊れたりする)事故よりも人身(人が負傷したり死亡したりする)事故が9割以上を占めています。

入所施設サービス全体の事故の内訳

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平成29年度老人保健事業推進費補助金老人保健健康増進事業等「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業報告書」:出典

上の円グラフからわかる通り、入所施設サービス内での事故の種類は「転倒・転落・滑落」が77.9%と大部分を占めています。次が「紛失・破損」で7.8%、「誤飲・誤嚥・むせこみ」が2.7%「接触・追突」が1.6%と続いています。

「接触・追突」は、利用者が病院受診のために外出した時の交通事故などを指します。

入所者同士のケンカなどは「対人トラブル」の0.4%に含まれています。よくニュースなどで取りざたされている「ご近所トラブル」などの口ゲンカは報道されているよりも実際は少ないことがわかります。

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入所施設サービスでのケガの種類

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平成29年度老人保健事業推進費補助金老人保健健康増進事業等「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業報告書」:出典

施設入所サービスでのケガの原因は、ほぼ「転倒・転落・滑落」なため、けがの種類としては「骨折」が72.1%と高く、次の「打撲」が10.0%、その後の「あざ・はれ・擦傷・裂傷」が7.5%、「火傷」2.0%と続いています。

どのような時に事故は起きているのか

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平成29年度老人保健事業推進費補助金老人保健健康増進事業等「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業報告書」:出典

どのような時に事故が起きているかというデータでは、「室内移動中」が22.4%、「他の利用者を介助中」15.9%となっており、介護者が目を離したすきに起きている事故が36.8%に上っていることがわかります。

なぜ、目を離してしまう状態が起きるのか?

なぜ、目を離してしまう状態がおきるのでしょうか。いくつかの理由があるのですが、主な理由としては

 

  1. 人員配置基準の問題
  2. プライバシーの問題

の2点が挙げられます。順に見ていきましょう。

人員配置基準の問題

介護付き有料老人ホームなどの人員配置基準は3対1入所者3人に対して介護者1人)と定められています。パッと聞くとお世話する人数としては十分な感じを受けますが、実際はかなり大変です。

例えば、入所施設では24時間、他の利用者と行動が一緒です。食べる時間、運動する時間、おやつの時間、就寝時間など、多少のズレはあってもほぼ皆さん一緒です。

そのため、食事場所までの見守り・介助や食事中の介助、食べた後の歯磨き、就寝時の着替えなどが同じ時間に集中します。

介護スタッフは一度に3人の介助をする事はできないので、順番に行います。

中でも一番難しいのは3人の利用者が一斉に「トイレに行きたい、連れていって」と介助を求められた時、こればかりは長い時間待たせるわけにはいかないので焦ります。このような状態が「目を離したすき」の状態といえます。

プライバシーの問題

業務内容だけを切りとって考えると、施設入所サービスで実際行っている業務は、保育園などで行っている業務とほぼ同じといえるでしょう。

保育園では、大きなフロアに布団を敷いてみんなでお昼寝する時間があります。いわゆる「雑魚寝」ですね。皆でお昼寝している姿は見ていてかわいいものです。

しかし入所施設サービスは「立派な大人」が入所している施設です。「雑魚寝」なんてもってのほか、人権侵害で大問題になるでしょう。

4人部屋もありますが、カーテンなど「プライバシーに配慮する」機能を備えています。

プライバシーに配慮すればするほど、その状況が死角となって、事故も起こりやすくなります。これは簡単に解決できない難しい問題です。

トラブルになる・ならないは、利用者の家族による

実際に利用者の転倒などの事故が起きて裁判になるケースは家族の気持ち次第です。

もちろん介護スタッフが利用者を虐待していた場合は論外ですが、わざとではない事故の場合、裁判まで持ち込むのは利用者家族の胸三寸のところが多いように思います。

以前私が勤めていた入所施設があり、当時そこに住んでいた利用者のAさんとBさんは、「夜中トイレに行こうとしてベット近くで転倒」という、まったく同じようなシチュエーションで骨折をしました。

Aさんの家族の場合

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ご家族に謝罪をすると「すみませんね、ご迷惑おかけしてしまって」とおっしゃいました。本当に理解のある方たちで、逆にこちらがますます罪悪感を感じ、スタッフみんなで反省しました。

Bさんの家族の場合

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ご家族に謝罪すると「現場を見に行きます。事故当時の介護記録も読ませてください」とおっしゃられ、すぐに家族や親族が8人いらっしゃいました。手にカメラを持って。その後は部屋や介護記録などをバチバチ写真に納め、現場検証さながらの状態でした。

なぜ家族ごとに反応が違ってしまうのか

なぜ家族ごとに反応が違ってくるのでしょうか。利用者家族の生まれ持った性格など、いくつか理由はありますが、その中の1つに

親を施設に預ける罪悪感

が大きく関わっていることがあります。

「親の面倒を本当は自分でみたい(みなければいけない)が、現状では仕事や子育てなどがあり、面倒をみることができない。そのため泣く泣く施設に預けたが事故が起きてしまった・・・」といった場合、自分の罪悪感も重なって怒りが倍増。行き場のない怒りの矛先が介護施設に向けられることがあります。また他の理由では、

利用者の日常を知らない身内が口を出しはじめる

ことも原因になる場合があります。

入所前に利用者と日常を共にしている家族ならば「この場所でつまずきやすい」「この時間はトイレに行く」など、利用者の生活パターンがわかります。

それゆえ、家族は「転倒」など事故を起こしやすい習慣も事前に把握することができます。

例えば施設でその利用者が「転倒」した場合、家族は「その状態だったら家でもよく転んでいたわ」と内容を理解してくれることが多々あります。

しかし、施設に入所するとにわかに増えるのは「親族・知人」です。「親族・知人」は利用者の昔のことは知っていても、最近の生活は知らない方が多く、「転倒」と聞くとニュースで聞きかじった「虐待」と連想します。そのため事故が起きると最初から施設に厳しく追及する構図ができてしまいます。

介護スタッフと家族の関わりを考察する:まとめ

介護サービスでの事故は防いでも防ぎきれない場合があります。利用者に愛情を持ち、かつ、適切な介護が提供できるよう、介護スタッフと家族間の事前の合意はこれからもっと必要になってくるでしょう。

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